井上尚弥の世界戦略シナリオを予想。「禁断カード」など次戦の相手は? (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Nikkan Sports/AFLO

【コンテンダー(チャンピオンに挑む挑戦者)】
・IBF1位 マイケル・ダスマリナス(フィリピン/27歳/30勝(20KO)2敗1分)
・WBA3位 ジェイソン・マロニー(オーストラリア/28歳/20勝(17KO)1敗)
・IBF2位 ジョシュア・グリーア・ジュニア(アメリカ/25歳/22勝(12KO)1敗1分)

 来春に予定される初戦では、対立王者やビッグネームより、ここで挙げたコンテンダーたちと対戦する可能性が高そうだ。

 サウスポーのダスマリナスは、引き分けを挟んで13連勝中ではあるが、世界的にはまったくの無名。それでもなぜかIBF1位にランクされ、井上の指名挑戦者になった。"モンスター"が本気で4団体統一戦を目指すとすれば、いずれ戦わなければならない相手だ。正直、魅力的な選手とは言い難いが、井上にとって"お披露目"に近い舞台となる次戦で、ルールを厳守するIBFの指名戦を早めにこなしておくのは悪くないシナリオに思える。

 双子の弟アンドリュー(WBA世界スーパーフライ級暫定王者)と共にトップランク社と契約したマロニーは、WBSS1回戦でロドリゲスに善戦して名を売った。好戦的な選手で井上とは噛み合いそうだが、この兄弟はオーストラリアの期待も集めているだけに、トップランク社はもうしばらく先を見据えることになるだろう。井上との対戦があるにしても、早くて1年後になるだろうか。

 トップランク社興行のアンダーカードで腕を磨いてきたグリーアは、10月26日、井上の米国デビュー戦の相手を務めたアントニオ・ニエベス(プエルトリコ/2017年9月、井上に6回TKO負け)に10回判定勝ちを飾った。ただ、最終回にダウンも喫する冴えない内容。これ以上の伸びしろを感じさせないサウスポーが、井上にとって「故障からの復帰戦」でもある次戦の相手に起用されることは、十分に考えられる。

【スーパーバンタム級王者】
・WBO世界スーパーバンタム級王者 エマヌエル・ナバレッテ(メキシコ/24歳/29勝(25KO)1敗)
・WBA、IBF世界スーパーバンタム級王者 ダニエル・ローマン(アメリカ/29歳/27勝(10KO)2敗1分) 

 近いうちにスーパーバンタム級に階級を上げるとすれば、ナバレッテ、ローマンという実力派王者たちとの対戦が興味深い。特に、「メキシコ人」「アグレッシブなファイター」「トップランク傘下」という3つの要素が揃ったナバレッテとのマッチアップは面白い。長身のメキシカンが井上のパンチに耐え切った場合に、大激戦になるポテンシャルを秘めている。
 
もっとも、井上は「しばらくバンタム級で戦う」と明言している。スーパーバンタムでは大柄なナバレッテも、そう遠くないうちに「フェザー級に上げる」と述べているだけに、現実的には対決は難しそうだ。

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