2019.11.21

井上尚弥の世界戦略シナリオを予想。
「禁断カード」など次戦の相手は?

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Nikkan Sports/AFLO

【ビッグネーム】
・元WBC王者 ルイス・ネリ(メキシコ/24歳/30戦全勝(24KO))
・元WBA、WBO世界スーパーバンタム級王者 ギジェルモ・リゴンドー(キューバ/39歳/19勝(13KO)1敗)

 上記どおり、ネリはロドリゲスとのWBC挑戦者決定戦が決まっている。一方、リゴンドーは12月22日にリボリオ・ソリス(メキシコ)とのWBA正規王者決定戦に臨むことが発表された。

 下馬評どおりにネリ、リゴンドーが次の試合を勝ち抜いたとして、彼らと戦っても井上のタイトルが増えるわけではない。しかし話題性という点では、このふたりと対戦することの意味は対立王者との統一戦よりも上。特にネリがロドリゲス、ウバーリを連破してWBC王者に戻った場合、井上との激突は”階級頂上決戦”と喧伝(けんでん)されることになるだろう。

 メキシコ系移民が多いアメリカでボクシング興行を盛り上げようとする場合は、「メキシコ人選手を巻き込め」というのが鉄則。山中慎介(帝拳ジム)との対戦時のさまざまな悪行、日本から追放処分を受けた事実もむしろ”スパイス”となり、井上vsネリは米国内でも軽量級の範疇を超えた注目カードとなるはずだ。

 もっとも、日本の多くのファンからの反発が必至のマッチアップでもある。ネリが再び体重オーバーの体で現れ、興行を滅茶苦茶にされることも想定内。挙行された場合に混乱が起こる可能性まで含め、「禁断のカード」と呼べる一戦である。

 一方、アメリカでは存在感が乏しくなったリゴンドーは、日本のファンからの評価が高いことがカギになるかもしれない。ソリス戦をクリアすれば、井上戦を楽しみにする声は日本側から飛び出しそう。39歳という年齢もあって、早い時期に対戦が具体化しても驚くべきことではない。

 リゴンドーはネリ同様、強力アドバイザーのアル・ヘイモンが率いるPBC所属なのが厄介ではある。だが、軽量級の層の薄さを考えれば、プロモーターの違いが対戦交渉の致命傷になることはあるまい。