井上尚弥に最大級の賛辞を贈るドネア。それでも「多くの欠点がある」 (2ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Kyodo News

――明かせる範囲でかまわないので、井上戦のファイトプランを教えてもらえますか?

「彼にはすばらしいパワー、スピードがありますが、私にもある。そんな試合では"適応"が重要になってきます。試合で彼がどう戦うのかを見て、それに適応する。非常に高いレベルの選手のスタイル、ゲームプランはひとつではありません。彼も複数のゲームプランを持っているはずですが、私には本当にたくさんの戦術があるのです」

――弱点はあるのでしょうか?

「彼にはたくさんの弱点があると思いますよ。アグレッシブになりすぎる時、守備的になりすぎる時もある。それらは悪いことばかりではなく、うまく使いこなせば武器になりますが、彼はまだ若いのでつけいるスキがある。これまでタフな選手と戦ったことはあっても、私ほど知的なファイターと拳を交えたことはないはずです」

――井上選手が若いと指摘しましたが、ドネア選手は36歳で「大ベテラン」と呼ばれる年齢になりました。衰えを感じることもあると思いますが、逆に向上した部分を挙げるとしたら?

「試合に向けた準備、戦いの組み立て方がうまくなったと思っています。何より、より自信を持って試合に臨めるようになったことが、今の私の最大の武器です。これまでリング上であらゆることを目にしてきましたし、何が起こっても驚かされることはありません」

――WBSSについても少しお聞きします。井上戦が正式発表される前、あなたが主催者への不信感から「辞退を考えている」との報道がありました。実際はどうだったのでしょうか。

「私たちは決勝戦の日程が決定するのを待っていましたが、なかなか連絡がありませんでした。マネージャー、プロモーターが声をかけても返事はなし。『その気になれば、いつでも他の試合が組めるんだ』と伝えたら、ようやく主催者から返事が来たというわけです」

――スーパーライト級の同大会で決勝に進んだ、レジス・プログレイス(アメリカ)陣営も、「お金ではなく、日程、コミュニケーションが問題だった」と話していましたね。

「まったく同じです。できたのは座って待つことだけ。お金うんぬんではなく、今後のプランが立てられないことが問題でした。ただ、無事に試合が決まったので、すべては過去の話です」

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