柔道の男子重量級で金なし。「勝ちに飢えた柔道」ができなかった (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Nishimura Naoki/AFLO SPORT

 3位決定戦では、16年リオデジャネイロ五輪銀メダルのエルマール・ガシモフ(アゼルバイジャン)が相手で、前半は互いに組んでもなかなか技を出せない展開になった。残り1分を切ってからは積極的に技を出し、残り32秒には相手が小内刈りを仕掛けて尻もちをついたのを逃さず、隅落としで転がして技あり。銅メダルを死守した。

 100kg超級の原沢は、初戦の2回戦では、3分9秒に内股で技ありを取った後、すぐに崩れ袈裟固めで抑え込むと合わせ技の一本勝ち。3回戦は先に奥襟を取る、落ち着いた柔道を、見せ、時間はかかったものの、残り28秒に小内刈りで技ありを取ると、それが1本に変更されて勝ち上がるなど安定した柔道で滑り出した。

 準々決勝は、どんどん前に出てくるリオデジャネイロ五輪銅メダルのラファエル・シルバ(ブラジル)が相手だったが、荒っぽく攻めてくるシルバに指導2が出る状況の中、ゴールデンスコアの延長戦2分33秒には相手が3つ目の指導を受けて反則勝ちとなった。

 準決勝は、前回優勝者で世界ランキング1位のグラム・ツシシビリ(ジョージア)との対戦で、今回最大のヤマ場。ツシシビリはスピードが持ち味でどんどん攻めてくる選手。

「準決勝は組手を雑にしないということと、相手が力勝負や速い勝負できたら、自分も受けて立とうと思っていた」という原沢は、序盤こそ先に技を出されたが、余裕を持ってそれに耐える。そして、2分40秒過ぎには両者とも背中を抱え合うような体勢になって技を打ち合う展開になると、最後は原沢が浮き腰で技ありを取って、そのまま横四方固めで抑えて勝利し、決勝へ進んだ。

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