「最強」の先へ。自分に厳しい大野将平が五輪連覇を目指す (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Osada Yohei/AFLO SPORT

 しかし、昨年9月のアジア大会に出場すると、世界選手権で優勝した安昌林(韓国/今回は欠場)に勝ってアジア王者となり、その後のグランドスラム大阪でも優勝をおさめた。

 井上監督は、「昨年の国際大会では、いろいろと課題が残ったが、今年はその課題をしっかり克服してリオ五輪前、リオ五輪以上の強さが身についてきている」と話し、こう続ける。

「相手の柔道着のどこを取っても投げるということを昨年は課題にしていたが、今回は、どの状態でも自分の形に持ち込んでしまう力強さがあった。そういう高い技術力が見えた試合だったが、その裏付けになるのは彼が常に考え抜いて、質、量ともに高い練習を行なっているからだと思う」

 1年後に東京五輪を控え、4年ぶりに東京で開催された世界選手権。そこで結果を出したことは、大野にとって達成感や満足感より、安堵の方が強かったと言う。

「自国開催だったし、周りから『大野は勝つだろう』という期待も感じていた。自分の中にも(勝てるだろうという)甘い誘惑がよぎったこともありました。それに打ち勝つためには、やりすぎといえるくらいの準備をするしかなかったし、試合直前まで自分の納得する準備ができたと思います。皆さんの期待を超えるような柔道ができたのではないかと思っています」

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