ジャイアント馬場のプロレス観も凌駕。四天王に「こいつらはすごい」 (3ページ目)

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji
  • photo by Nikkan Sports/AFLO

 馬場自身も、試合で四天王のすごさを体感したことがある。中でも和田が忘れられないのが、1998年1月23日、後楽園ホールで行なわれた馬場の「還暦特別試合」だった。馬場は、三沢、マウナケア・モスマンと組んで、川田、小橋、渕正信と対戦した。試合は、馬場がジャンピングネックブリーカードロップで渕をフォールして勝利したが、それまでに川田の蹴り、小橋のチョップを何度も真正面から受けた。

「川田が馬場さんの背中を蹴るにも思いっきり手加減しないでいつも通り背中をバシンと蹴る。試合が終わった後に馬場さんは、『京平、川田はいつもあんなに三沢を蹴っているのか?』と聞いてきました。僕が『そうです』って答えると『体中に電気が走ったぞ。あれは痛いな。こんな試合をあいつら毎日やっているのか。でも、オレも還暦であの蹴りについていけたな。まだまだできるな』と喜んでいました。

 60歳になって、四天王と戦う姿は感無量でしたね。川田も小橋も、馬場さんに対して手を抜かなかった。たぶん、手を抜けば失礼だと思ったんでしょう。馬場さんも必死で、やられながらも一生懸命に耐えて、プロレスのうまさを見せました。僕はレフェリングしながら、『やっぱり馬場さんはすごいな。さすがトップ選手だな』と思っていましたよ」

 その還暦試合から1年後の1999年1月31日、馬場は急逝した。和田は「だから、あの試合は馬場さんの生涯最後の名勝負でしたね」と振り返る。

 今年で没後20年。今のプロレス界が継承していくべき、馬場の思いとは。

「馬場さんは、常にファンを一番に考えていました。『オレたちのスポンサーはファンだぞ。ファンを裏切っちゃいけない』と。"ファンあってのプロレスであり、レスラーだ"という思いを、今の選手たちも受け継いでほしいですね」

(=敬称略)

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