村田諒太の「価値」はいかほどか。次戦勝利でゴロフキン戦の現実度 (2ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Yamaguchi Hiroaki/AFLO

 ただ、昨秋にカネロと11試合3億6500万ドル(約400億円)という巨額契約を結んだDAZN(ダゾーン)の幹部の考えは違う。やりにくいサウスポーのアンドレイドよりも、好ファイトが約束され、やはり今年3月にDAZNと契約したゴロフキンとの対戦を望んでいるという。

 期待の大きかったカネロ対ジェイコブス戦は、ハイレベルの技術戦ではあったものの、エキサイティングな内容ではなかった。米国内で60万件以上、全世界で120万件以上がDAZNを通じてこの試合を見たと発表されたが、その視聴者が月額19.99ドルを払って加入者であり続ける保証はない。米国ではまだ知名度の低いDAZNがファンを引きつけるために、カネロとゴロフキンの"決着戦"にプライオリティを置いているとしても理解はできる。

 そして何より、日本のファンが気になるのは、さまざまな思惑が入り組んだミドル級戦線に村田がどう絡んでくるかだろう。「もうトップで戦うチャンスはないのではないか」と考える人も多いかもしれない。昨年10月、ラスベガスでブラントに敗れ、村田の商品価値が大幅に下落したことは間違いないからだ。

 だが、村田の希望が消えたわけではない。まずは7月にエディオンアリーナ大阪で開催されるリマッチで、ブラントに勝つのが再浮上の絶対条件。そこでリベンジを果たしても、現代最高のビッグネームとなったカネロへの早期の挑戦は難しいだろう。

 しかし、ミドル級No.2のドル箱ファイターとの対戦は不可能ではない。昨年あたりから度々話題になってきた、ゴロフキンとのドリームファイトはまだ完全消滅したわけではないのだ。

「(村田の名前も)私たちのリストに載っていますよ。興味深い対戦相手候補です。今は無冠ですが、元世界王者であり、五輪の金メダリスト。とてもいい選手であり、ビッグファイトのリングに立つに値するファイターであることに変わりはありません」

 4月19日にMSGで行なわれた復帰戦の発表会見で、ゴロフキンは笑顔でそう述べた。日本人記者に対するリップサービスではない。関係者の言葉を聞いても、ゴロフキン自身が村田とのビッグイベントに興味を持っているのは事実のようだ。

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