日本初の格闘技イベントでメイン。
青木真也は重圧にも「感謝してる」

  • 保高幸子●撮影 photo by Hotaka Sachiko

2015年以来となる日本での総合のリングへ2015年以来となる日本での総合のリングへ――自分の好きなように、趣味などに生きるということですか?

「いや、趣味は格闘技。あとサウナ(笑)。オレは、格闘技はサウナのようなものだと思っていて。練習や減量で自分に圧をかけて試合に臨んで、それを開放したときにとんでもない快楽が得られる。シンプルだから中毒性が強いんだよね。戦って金をもらって、飯を食うとかすごいリアルだし、生きてることを実感できるのがいいなと思ってる。あとは"ぶっ飛んでる"人が多いのもいいよね」

――青木選手も十分に"ぶっ飛んでる"ような......。

「年をとったら一般的な感覚が戻ってくると思っていたけど、むしろ先鋭化していっているね(笑)。自分のことが大好きで、何よりも自分を優先して発言や行動をするから、だいぶ危ないヤツだと自覚してますよ」

――それだけトンがっていくと、"敵"も増えそうですが。

「いや、敵はいないと思ってます。オレには"アンチ"もいるけど、あれは偏愛だから。ありがたいですよ。みんなファミリーだっていうことにして、困ったやつは助けようと思ってる。特に格闘技は、ジェットコースターみたいな仕事だからね。でも、仲間とは連絡は取ってもずっと一緒にはいたくない。オレが寂しくなって部屋に来てもらったとしても、すぐに『うざい』ってなるだろうし」

――だいぶこじらせていますね(笑)。

「そういう自分の矛盾してるところは大好きなんだけどね(笑)。パートナーにしても、オレをサポートしてくれる人じゃないと成り立たないんだけど、好きになるのは自分と同じような"ぶっ飛んだ"人だし。ひとりになりたいんだけど、それだと寂しくなる。誰かと一緒にいるのを我慢するのか、それを捨てて寂しさを取るのか。オレの人生、"超ハードモード"だよ。

 ごめん、試合のこと話そうか(笑)」

――3月31日のONEの試合は、2016年11月にライト級王座を奪われたエドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)とのリマッチになります。前回の試合では、寝技で優位に試合を進めていましたが仕留めきれず、打撃でKOされてしまった。今回、警戒すべきところは?

「警戒というよりも、自分の強いところを出すことが大事。全部ぶつけて、結果はどうあれ悔いなく終わりたい」

――青木選手にとっては2年ぶりの王座奪還がかかった試合で、しかもイベントのメインという重圧もあると思いますが。

「ここまでキャリアを重ねてきた今、こんなに重圧や責任感のある仕事を任せてもらえることには感謝してます。(格闘技ブームが終わった)20代後半の頃は、『大きいイベントでメインを張るようなことはもうないのかな』と思っていたから。コツコツやっていれば、またこういうことがあるのかなとも思うし、やめられないですよね」

――試合に向けた準備で、年齢の影響を感じることは?

「心理的なストレスが大きくなったこと。若いときは主観で突っ走れるけど、年齢が上がっていろんなことを経験すると客観性が増して、いろんなことに不安を感じるようになるから。『他のやつはもっとやってる』と人と比べたり、『自分の体力が落ちているんじゃないか』とか思ったり。一番幸せなのは、自己否定をせずに突っ走れるやつ。客観性が増してきたことはつらいよ」

――それを乗り越えるために必要なことは?

「それは単純なことで、やっぱり一生懸命やり続けること。試合という目標を定めてもらったら、全力でそこに向かっていく。それしかないね」

――31日の試合では何を見てもらいたいですか?

「勝手に決めて(笑)。オレは一生懸命いいものを提供するから、それをどう判断するかは見る側に任せますよ」

(取材協力:「TRIBE TOKYO M.M.A」

■「ONE:A NEW ERA-新時代-」 
3月31日(日)東京・両国国技館 14:30開場/15:30開始
詳細はこちら>>

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