実は金欠のパッキャオ、巨額報酬獲得へメイウェザーとの再戦を目指す (3ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 メイウェザーは、大晦日の「RIZIN」で那須川天心と戦うか否かで世間を騒がせたばかり。41歳になっても"マネー(金の亡者)"を自称する6階級王者の、「お金」と「注目度」への欲求は衰えるところを知らない。そんなメイウェザーにとって、すでに手の内を知り尽くしていて負けるリスクが少なく、手っ取り早く稼げるという点で、パッキャオ戦ほど美味しいファイトは存在しない。

「みんなが再戦を見たいと思っているはず。今度はどちらが勝者になるか予想するだけで、ファンはエキサイトしてくれるだろう。僕も100%の体調で試合に臨めるだろうからね」

 パッキャオはそう述べているが、正直、二番煎じ感は否めない。30歳前後の選手が各団体のタイトルを保持する現在のウェルター級において、共に40歳を超え、ピークをはるかに過ぎた両雄の再戦に大きな意味を見出すのは難しい。

 ただ、約5億ドル(約600億円)という興行収入を記録した第1戦の3分の1の報酬でも、両選手にとっては笑いが止まらないほどの臨時収入になる。2人の知名度を考えれば、興行的な成功は不可能ではない。結局は金が物を言うアメリカのボクシング界で、この試合が実現しないことは考えにくいのだ。

 そんなシナリオを知って、より寂しさを募らせた人もいるだろう。9年ぶりのKO勝ちで王座に返り咲いた、前戦のルーカス・マティセ(アルゼンチン)戦を最後に身を引けば、パッキャオにとって最高の花道になっていたはずだ。しかし、高額報酬の試合と散財を繰り返すパッキャオにそんな選択肢がないことを、ファンも気づいている。

 まずはブローナー。その先にメイウェザー。ブローナーに勝てば、2度目のビッグファイトもある程度は正当化されるだろう。だとすれば、パッキャオのボクサー人生はまだまだ終わらない。彼らと同じ時代を生きる私たちは、スーパースターの栄光が大きく傷つかないことを願いながら、その行く末を見守ることしかできない。

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