大仁田厚、復帰じゃなくデビュー?「還暦過ぎてもこんな生き方はある」 (2ページ目)

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji
  • photo by Nikkansports/AFLO

 オレは、「がむしゃらに頑張れる仕事が、本当の仕事」って思うんですね。ストレスを溜めて苦しくて仕方ないなら、やめりゃぁいい。自分の人生なんだから、最終的には、他人や仕事から受けるストレスに操られるんじゃなく、自分で舵をとるもんだろ? オレは今回のことでも猛烈に批判されていますけど、人生は1回しかないから、やりたいことをやる。

 オレは、人から見ればわがままに見えると思います。だけど、ただ自由に生きているだけなんです。4月の選挙で負けた時も周りから人が離れていったけど、それを恐れていたら何もできない。負けたらリセットして精算すりゃあいい。自分の生き方、働き方に迷っている人たちに、そんなメッセージをリングから伝えたいと考えています。

 その時々の流れで引退と復帰を繰り返してきましたが、別に意識してやっているわけじゃないし、何かを企んでいるわけではないんですよ。復帰すれば、いつも半分以上は批判ですよ。でも、批判するということは関心があるということ。需要と供給の問題で、オレ以外でも、引退と復帰をする選手はいるけれど、オレばかりが目立ってしまう。困ったもんだ。

 いつも批判と中傷を浴びる。いいんですよ、それで。ブーイングもプロレスの華ですよ。常識は非常識の裏返しだから、「嫌よ嫌よも好きのうち」ですよ。

 オレは決して選ばれた人間じゃない。だからこそ、人間が持っているしぶとさを表現しようと思っています。人間にはそれぞれ役割があると思う。60歳のオレが電流爆破をやることは、何らかの勇気を与えることになるんじゃないかな。40、50代で老後に不安を抱いている人たちに、「還暦過ぎてもこんな生き方があるんだよ」って訴えたいですね。

 オレが死んだ後には、「あいつは言いたいことばかり言ってやがった」となるかもしれないね。だけど、人生は夢を追いかけ続けるほうが面白いじゃない。引退も復帰もいつも本気。「オオカミ少年」ならぬ「オオカミおじさん」と言われようと、いつも本気で辞めて本気で戻ってきてる。逆に、「大仁田ウソつき」「引退詐欺」って言われるから、必死にやることができる。10月28日の大会では、そんな"人間力"を見てほしいと思っています。

 俺は、批判も応援と勘違いして、リングに立ちますよ。

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