二刀流・那須川天心、MMAの横綱との決戦へ。「堀口さんにも穴はある」 (3ページ目)

  • 布施鋼治●文 text by Fuse Koji
  • 田中亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

 そう語ると、那須川は自身のスマホに入っている練習映像を見せてくれた。

「現役王者の方は堀口選手より動きが速いし、その動きを経験することで『ここは安全』『ここは危ない』という見極めができる。案の定、その空手家の方との練習後、堀口選手の試合映像を見たら安心しました。ただ、(相手の)入り込みだけは気をつけたい」

 堀口独特のステップだけが問題というわけではない。パンチやキックだけではなく、投げ技や寝技もあるMMAは全身を鍛える必要があるため、えてしてMMAファイターは体幹が強い。今回の契約体重は58キロ。RIZINでは60キロ~61キロで闘う堀口はさらに体重を下げ、反対に、最近は57キロ~58キロで闘う那須川は体重を上げる格好だ。

計量は前日なので、試合当日には堀口の方がやや体は大きくなっていることが予想される。当然、コンタクトしたときの当たりは堀口のほうが強いだろう。しかし那須川は、その部分もしっかりと把握している。

「(ルール上)組みからの攻撃はそのつど1回だけなんですけど、しっかりヒザを打ったり、組み負けないようにしないといけない」

 そもそも、MMAファイターとしての堀口を見たとき、那須川は弱点のないファイターだと分析していたが、「キックボクサーとして見たら穴はある」と断言した。

「ただ、堀口選手はまだキックルールでは闘ったことがないので、正確に言うと、イメージとして弱点を見つけているということになりますね」

 キックボクシングの世界王者の目から見ると、堀口の打撃には粗さも感じるという。

「詰め方だったり、パンチやキックの振りはちょっと大きくなるところがあるので、そういう穴をついていければ。カウンターや間合いのとり方はすごいと思うけど、僕にとってはすべて想定内です。最後はお互いの対応力が勝負のカギを握ることになるでしょう」

 試合時間は3分3ラウンド。もし本戦でドローだった場合には、延長戦が1ラウンドある。ファンはKO決着を期待しているが、那須川はあらゆるケースを想定している。

「延長戦にもつれ込むこともあるんじゃないですか。だから、延長も想定したうえで闘おうと思っています」

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