ゴロフキン落城で迫られた方向転換。
村田諒太は次戦で劇的KOが必要

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Yamaguchi Hiroaki/AFLO

 ターゲットが変わり、道がより険しくなったのは間違いない。北米では最大の興行価値を誇るカネロが日本に来ることは考えられず、ラスベガス開催が基本線。しかし、一戦ごとに莫大なマネーを生み出すカネロと対戦したいミドル級選手は枚挙に暇がなく、新WBA、WBC王者には他にも多くの選択肢がある。

 10月20日にボストンで挙行されるWBO同級王者ビリー・ジョー・サンダース(イギリス)vsデメトリアス・アンドレイド(アメリカ)戦の勝者、10月27日にニューヨークで開催されるIBF同級王者決定戦ダニエル・ジェイコブス(アメリカ)vsセルゲイ・デレヴャンチェンコ(ロシア)の勝者、WBC暫定王者ジャーマル・チャーロ(アメリカ)、そして9月15日のアンダーカードで初回KO勝ちを飾った元IBF王者デビッド・レミュー(カナダ)など、同階級のビッグネームたちがカネロ挑戦を目指してくるのだろう。

 カネロは12月にニューヨークのマディソン・スクウェア・ガーデン初登場を計画しており、"ブロードウェイ・デビュー"の相手はレミューが務めることが濃厚だ。その後、来年5月、9月にラスベガスで予定されるビッグファイトのパートナー役を村田も他の強豪たちと争うことになる。

「カネロ側から聞いているのは、カネロは12月にレミューvsゲイリー・オサリバン(アメリカ)の勝者とやるということ。で、来年の5月はまたここでやるから、村田がいい試合を見せれば候補になる」

 本田会長はそう述べたが、ジェイコブス、チャーロ、アンドレイドといった選手たちの、アメリカ国内での知名度は村田を大きく上回る。また、リマッチも微妙な判定決着だっただけに、カネロvsゴロフキンの第3戦が近い未来に企画されても不思議はない。これらの事情を考えれば、村田が割り込みを図るのは容易なことではあるまい。

 しかし難しくはあっても、不可能なわけではない。世界的にリスペクトを集める本田会長はカネロを抱えるゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)とも良好な関係を築いており、亀海喜寛、ホルヘ・リナレスといった帝拳ジムファイターは、アメリカ国内ではGBP傘下だ。カネロは12月の次戦でメガケーブル局HBOとの契約が満了し、以降はテレビ局に縛られることがないのも追い風と言える。

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