「チケット持ってますか」の屈辱が、「有刺鉄線デスマッチ」を生んだ (4ページ目)

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji
  • photo by Kimura Moritsuna/AFLO

 UWFには絶対にできない"痛みが伝わるデスマッチ"はファンに受けました。一方で、プロレス関係者からは「邪道」と言われるようになりましたけど、生きていくのに正道も邪道もないと思っていました。チケットを買ってくれるファンがいる限りは何でもやろうという覚悟でリングに上がっていましたよ。

 試合が終わった後にマイクを持ってその想いを伝えている最中に、自然に涙が出てきてしまって。そのとき口から出たセリフは用意していたものじゃなくて、その場で込み上げてきたものを言葉にしていただけでした。その後には「涙のカリスマ」なんて呼ばれましたけど、本当に自分の想いを吐き出しただけなんですよ。

 有刺鉄線デスマッチが成功しても、FMWの経営は上向きませんでした。団体を運営していくためには、さらなるビッグマッチが必要だった。そこで考えついたのが、「有刺鉄線"電流爆破"デスマッチ」だったんです。

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