井上尚弥の優勝はもはや確実視。
望まれているのはド派手な勝利だ

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by AP/AFLO

 最後に、日本でも知名度の高い元4階級制覇王者ドネアにも触れておきたい。7、8年前に猛威を振るったバンタム級に久々に帰還するフィリピンの英雄は、まだ力を残しているのか。スーパーバンタム、フェザー級で戦った過去3戦では1勝2敗なだけに、35歳の"老雄"に大きな期待はできないように思えるが......。

「ドネアはスーパーバンタム級でも減量に苦しんでいたくらいだから、バンタム級で戦える体を作れるのかどうかはわからない。ただ、自身の身体については彼が一番よく知っているはずだ。

 もう7、8年前の話だが、バンタム級時代のドネアはウラジミール・シドレンコ(ウクライナ)、フェルナンド・モンティエル(メキシコ)、オマール・ナルバエス(アルゼンチン)といった強豪に圧勝している。1回戦で対戦するバーネットは脅威を感じるほどパワーがある選手ではないだけに、チャンスはあるかもしれない」(サンガリア記者)

 あくまで「コンディションを整えてきた場合」という条件つきながら、ドネアのキャリアを追いかけてきたサンガリア記者は、第1シードのバーネット相手でも番狂わせのチャンスはあると見ているようだ。

 バーネットに勝ったとしても、準決勝でより評価の高いテテと対戦すれば絶対不利は確実。日本でも一部のファンが歓喜するであろう井上vs.ドネアの"新旧スター対決"の実現の可能性は低そうだ。ただ、たとえそうだとしても、長くファンを楽しませてきたヒーローの最後になるかもしれない挑戦を、楽しみに見守っていきたい。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る