井上尚弥の優勝はもはや確実視。望まれているのはド派手な勝利だ (3ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by AP/AFLO

 続いて、対抗馬やダークホースを尋ねると、3人は揃って同じ名前を挙げた。5月に18戦全勝(12KO)のまま世界タイトルを獲得した"プエルトリコの俊才"ロドリゲスだ。すでにWBA、IBFを統一した経験のあるバーネット、昨年11月の防衛戦で11秒KO勝ちを収めたテテに実績では劣るとしても、ロドリゲスにミステリアスな魅力があるのは事実である。

「バーネット、テテが2番手とみなされるが、プエルトリコで期待を集めるロドリゲスがワイルドカード的な存在として上がってきても驚かない」(ナム記者)

「対抗馬を挙げるとすればロドリゲスではないだろうか。パワーとスキルを兼ね備え、バランスの取れた優れたボクサーだ。井上との対戦がハイレベルな試合になることは確実。順調にいけば、その準決勝が最大の見どころになる」(キンバオ氏)

「テテは誰にとっても戦いづらいスタイルを持っている。2、3階級上じゃないかと思うほど長身のサウスポーで、パンチ力もある。ただ、井上はバンタム級に転向した後の初戦で同じく体格に恵まれたマクドネルを粉砕しているから、テテ戦でもやはり井上が有利だ。ダークホースを選ぶなら、まだ未知数の部分はあるが、ロドリゲスが面白いと思う」(サンガリア記者)

 25歳の井上、26歳のロドリゲスはともに今が旬の選手たちだ。スタイリッシュなロドリゲスは井上とも噛み合いそうで、キンバオ氏の言葉どおり、順当ならばこの2人が激突するセミファイナルが大一番になるかもしれない。

 現在、準決勝はアメリカで開催されるとも伝えられている。それが実現すれば、昨年9月にアメリカで1戦をこなしたとはいえ、ワールドレベルでは依然として"試されている"立場の井上が、本場のファンに真の意味でお披露目される舞台になるかもしれない。

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