女子レスリング「金メダル0」で王国崩壊の危機。東京五輪に間に合うか

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「金メダル0」

 女子レスリングが正式種目となった2002年釜山アジア大会から16年、5大会目にして初の屈辱的成績だ。

 パワハラの加害者・栄和人前強化本部長は辞め、協会理事を解任された。しかしながら、任命責任や監督責任は問われず、いまだ具体的なパワハラ防止策が実施されぬ日本女子レスリングが招いた、当然の結果といえようか。

アジア大会でまさかの準決勝敗退となり、涙を見せる川井梨紗子アジア大会でまさかの準決勝敗退となり、涙を見せる川井梨紗子 6名全員がアジア大会、初出場。銀メダル2個、銅メダル3個に終わり、アジア大会で圧倒的強さを見せられなかった日本女子レスリングは、2年後の東京オリンピックでどうなるのか?

 出場した選手たちはもちろん、国内選考で敗れてアジア大会のキップを掴めかったライバルたちも、オリンピックを意識・想定していることは間違いないが、アジア大会の成績が2年後に行なわれるオリンピックにどう結びついてきたのか。これまでの大会を振り返ってみよう。

 2年後のアテネオリンピックで実施される4階級中、各国3選手のみ出場可とされた2002年釜山アジア大会では、浜口京子、吉田沙保里(至学館大副学長)が金メダル。伊調馨(いちょう・かおり/ALSOK)は決勝戦で惜しくも1点差で敗れて銀メダルに終わったものの、3人は3週間後に行なわれた世界選手権でそろって金メダルを奪取。馨の姉・千春を加えた4人は2003年世界選手権も制すると、2004年アテネオリンピックへ突っ走り、金メダル2個、銀メダル1個、銅メダル1個を獲得。「女子レスリング王国ニッポン」の名を世界に轟かせた。

 続く2006年ドーハ・アジア大会はオリンピックと同じく4階級実施となったが、アテネオリンピックに出場した浜口、吉田、伊調姉妹は国内で他の追随を許さず代表となり、金メダル3個、銀メダル1個を獲得。4名は2年後の北京オリンピックに連続出場を果たし、アテネと同じく金メダル2個、銀メダル1個、銅メダル1個を獲得した。

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