入江ゆきがアピール不足の銀。レスリング50kg級の競争が熾烈になる (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 兄と妹ふたりもレスリング選手の入江は、中学3年のときに全国中学46kg級で優勝し、小倉商業高校時代はインターハイを2連覇。九州共立大では48kg級で全日本学生選手権を4連覇し、大学2年の12年には世界ジュニアと世界大学選手権で優勝している。自衛隊体育学校入りした15年には、アジア選手権で優勝、全日本選手権も初優勝と華々しい実績を積み上げてきた。

 だが48kg級はちょうどこの頃、12年ロンドン五輪まで日本のトップを引っ張ってきた坂本日登美に代わり、登坂絵莉(東新住建)が台頭してきた時期。その壁に阻まれて世界は遠かった。さらに16年リオデジャネイロ五輪後に登坂がケガで休養した時もタイトルが取れず、年下の須崎優衣(早大)に代表の座をさらわれてしまった。結果、須崎の世界選手権初出場初優勝の快挙を見ることとなり悔しさを味わった。

 その世界王者になったばかりの須崎を相手に、昨年の全日本選手権では準決勝で10-0のテクニカルフォール勝ちをおさめ、2度目の優勝を手にした。さらに今年の3月のワールドカップでも、決勝の対中国戦ではリオデジャネイロ五輪3位の孫亜楠にフォール勝ちして、日本優勝に貢献。存在感を強くアピールした。

 しかし、世界選手権代表の座を狙った今年の6月の全日本選抜では、準決勝で登坂を破ったものの、決勝では須崎に再びフォール負け。世界選手権の切符はプレーオフに持ち越された。そして、7月に行なわれた須崎とのプレーオフでも、終盤までリードしながら、終了間際に逆転負けを喫し、ここでもチャンスを掴むことができなかった。

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