ファンの夢「ゴロフキンvs村田諒太」は実現するかを検証してみた (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 このように、開催地やテレビ局、プロモーションの問題はいずれもクリアすることができそうだ。報酬面も大きな障害にはならず、ある関係者によると、東京ドームでのファイトならゴロフキンには1000万ドル(約10億9000万円)前後の報酬が支払われるという。

 だとすれば──。日本の英雄がミドル級の帝王に挑むという日本ボクシング史上空前のビッグファイトは、近い将来に本当に成立するのだろうか。

 もっとも、先走るのは禁物だ。ゴロフキンにとって村田は"選択肢のひとつ"ではあるが、"プライオリティ(優先事項)"ではないからだ。今のミドル級には多くのビッグネームが揃っている。

 元WBC王者サウル・"カネロ"・アルバレス(メキシコ)、WBO王者ビリー・ジョー・サンダース(イギリス)、 元WBA王者ダニー・ジェイコブス(アメリカ)、WBC暫定王者ジャマール・チャーロ(アメリカ)、元WBA、WBO世界スーパーウェルター級王者デメトリアス・アンドレイド(アメリカ)、IBF指名挑戦者セルゲイ・デレビャンチェンコ(ウクライナ)......。

 この中で、ゴロフキンのプライオリティがカネロとの因縁のリマッチであることは明白だ。ゴロフキンとカネロは昨年9月に"ミドル級頂上決戦"を行なったが、論議を呼ぶ判定での引き分け。今年の5月5日に再戦が決まっていたものの、カネロが禁止薬物検査でひっかかり、ラスベガスコミッションから出場停止を受けるという波乱の展開になった経緯がある。カネロは結局は5日の試合への出場を断念し、代わりに急遽組まれたのがゴロフキンvsマーティロスヤン戦だったというわけだ。

 カネロの出場停止は8月には解け、9月のメキシコ独立記念日の週末にゴロフキンとの再戦が仕切り直しされるかどうかが今後の焦点になる。因縁と遺恨のスパイスが加わり、リマッチではカネロが約5000万ドル(約54憶4400万円)、ゴロフキンもその半分を手にしそうなスーパーファイト。関係者の話を聞く限り、この試合が成立するかどうかは五分五分だという。

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