高まる「伊調馨」待望論。激震の女子レスリング、W杯で露呈した弱点 (2ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO

 協会が激震に襲われるなか、チームの指揮を執ることとなった笹山秀雄監督(女子強化委員長)以下、コーチ、選手たちは「影響がないといえば、嘘になる」と言いながらも、「どんな状況でも乗り越えて勝つ。日本の強さを世界に見せつける」と意気込んでいた。

 ワールドカップは10階級による団体戦形式で行なわれ、階級別に1対1で対戦し、勝ち越したほうが勝利チームとなるルール。8ヵ国をふたつのグループリーグに分け、グループ最上位同士が決勝戦を行なう。予選グループA、日本の予選ラウンド第1セッションの相手はスウェーデンだった。

 日本はリオデジャネイロオリンピック金メダリストの62キロ級・川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)と68キロ級・土性沙羅(どしょう・さら/東新住建)に加え、東京オリンピックでのメダル獲得が期待される50キロ級・入江ゆき(自衛隊体育学校)、55キロ級・向田真優(至学館大)、76キロ級・皆川博恵(クリナップ)らを温存。それでも、危なげなく10戦全勝で白星スタートを飾った。

 注目された栄強化本部長の娘、65キロ級・栄希和(きわ/ジェイテクト)も自分では納得のいかない内容ながら4-2で勝利。強化委員会が「2017年の全日本選手権1位・2位選手を中心に選ぶ」と明言したにもかかわらず、全日本選手権1回戦負けの栄を代表に選出したことで物議を醸(かも)したが、そのプレッシャーをはねのけてチームの勝利に貢献した。

 初戦で温存されたメンバーが出場したのは、第2セッションのカナダ戦。シニア初舞台となる高校生の72キロ級・松雪成葉(なるは/至学館高)がリオ金メダリストに敗れ、皆川も僅差で負けたものの8勝2敗で勝利。さらにアメリカとの最終セッションも8勝2敗で制し、日本は1位で予選通過を果たした。

 そして迎えた決勝戦。相手は過去に大会5連覇を含めて6度優勝を誇り、今大会も予選グループBでわずか1敗しか喫していない強豪・中国だ。

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