打倒・村田諒太に燃える「あの男」。ベルトも金メダルもオレのもの? (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke

 誤解のないようにつけ加えておくが、ファルカンは「オリンピック決勝では自分が勝っていた」と信じてはいるものの、けっして村田を見下すような発言はなかった。

「村田はとてもいい選手で、しっかりした技術がある優れたファイターだ。プロ入り後も基本的にはアマチュア時代と変わらないボクサーファイターだが、プロ入り後にパワーがついたと思う」

 その話しぶりからは、すでに2度も拳を交えたライバルで、プロで先に成功を掴んだ村田をリスペクトしているようにも感じられた。この姿勢のままでいられれば、ラスベガスでの再戦も爽やかな盛り上がりを見せるはずだ。

 ともに母国では"ビッグネーム"である村田とファルカンだが、まだアメリカでの知名度は高いとは言えない。特にファルカンは、プロではまだ十分なテストマッチを行なっておらず、「ラスベガスのリングで対戦させるのは早すぎる」という声もある。しかし、百戦錬磨のトップランク社には、「"ナイスガイ同士のライバルストーリー"を華やかに売り出せる」というもくろみがあるのだろう。

「日本には巨大なブラジル人コミュニティがあるし、ブラジル、日本の両方で僕を応援してくれる人がいるのも知っている。そんな多くのファンのためにも、リマッチのチャンスがほしい。村田に勝って世界王者になりたいんだ」

 そう語るファルカンにとって、人生を懸けた勝負の時が迫っている。プロでの実績は村田がはるかに上回っていても、アマチュア仕込みの経験とリベンジへの熱い思いは侮れない。今夏のラスベガスは、6年越しの因縁の決着の場として熱く燃え上がることになりそうだ。

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