打倒・村田諒太に燃える「あの男」。ベルトも金メダルもオレのもの? (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke

 質疑応答の中で、ファルカンは「自分こそが真の五輪王者(True Olympic Champion)だ」という言葉を繰り返した。さらに取材中には、ファルカンの広報担当を名乗る謎の人物がいきなり電話口に登場し、こうまくし立てた。

「村田とエスキバは(2011年の)世界選手権とロンドンオリンピックで2度対戦し、村田の2勝という結果が残っている。しかし、オリンピックでの2点の減点はフェアではなかった。あれさえなければ、エスキバが勝っていたはずのファイトだった」

激闘の末に、ロンドン五輪の金メダルは村田が手にした photo by Reuters/AFLO激闘の末に、ロンドン五輪の金メダルは村田が手にした photo by Reuters/AFLO 小差の判定負けを喫したボクサーと、その陣営が不服を訴えるのは珍しい話ではないが、ファルカン側の主張に根拠がないわけではない。

 ロンドン五輪のミドル級決勝は大接戦となり、村田が14-13 で辛勝。あらためてその試合映像を見直しても、どちらが勝っても不思議ではなかった。その第3ラウンドには、ファルカンにホールディングによる2点減点が告げられ、結果的にはこの裁定が勝敗に直結してしまった。

 この試合後にブラジル五輪委員会が国際ボクシング協会に抗議したが、訴えは退けられている。村田の勝利には文句のつけようがなく、とやかく言われる筋合いはない。しかし例えそうだとしても、ファルカンとその陣営はモヤモヤと収まりがつかない心情を抱えているのだろう。

「私こそがオリンピックの真の王者であり、自分にはプロで世界王者になる準備が整っていることを示したい」

 そう宣言するファルカン。7月の村田戦が実現すれば、積年の思いを胸に王者に挑むことになる。

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