山中×ネリ戦の教訓。ふざけた体重超過ボクサーを、どう懲らしめるか (5ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 直前の5戦はすべて167ポンド(約75.6kg)以上で戦っていたチャベスだったが、高額の罰金をちらつかされ、カネロ戦では見事に164.5ポンド(約74.6kg)の契約ウェイトを作り上げた。

 減量で精魂尽き果てたチャベスが肝心の試合で精彩を欠いてしまったため、スポーツとして見ればこの方法も完璧ではないかもしれない。それでもブローナー、ネリのような傍若無人な選手に対して、一定の効果はあるだろう。

「テレビ局がプロモーターと事前に話し合い、オーバーウェイトがあった場合には放映権料が大きく差し引かれるようなシステムを作っておくべきだ。そうすれば、選手だけではなく、プロモーター、マネージャーはより責任を持って出場選手のウェイト、コンディションを管理するようになる」

 上のコメントはモハメド・アリの伝記など、多くのボクシング関連の著作がある大ベテランライター、トーマス・ハウザー氏のものだ。選手、チームだけでなく、マネージャー、プロモーターも巻き込むことで責任の所在は広がりを見せる。それぞれの取り分が減るとわかれば、陣営全体がこれまで以上に慎重に選手をコントロールしようとするのではないか。

 もちろん、これらをすべてをやったところで、ほとんど先行投資のつもりで無報酬でも勝ちにくるボクサーは制御できない。しかし、金銭授受のシステムを厳しくすることで、少なくとも彼らに危機感を与えることはできる。それを継続することにより、確信犯で計量を無視する選手の数を減らしていくことは可能だろう。

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