伊調馨がALSOK広報部に異動したので、さっそく名刺交換してきた (4ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「東京オリンピックへの想い」を聞くと、伊調は迷うことなく答えた。

「今はまだ選手としてやっていくこと、オリンピック5連覇ということに意味・価値を見いだせていないので、漠然と『選手に戻る』ということはありません。戻るとしたら100パーセント、腹をくくったとき。それがいつなのか、きっかけが何かの出来事なのか、誰かの言葉なのか、大人か子どもか、はたまたモノなのか......。今はまったくわかりませんが、"コレ"ということ、モノ、人があれば」

 Sportivaが独占インタビューした2016年12月、伊調は「復帰のリミットは客観的に見て、オリンピックの2年前」と断言した。まずは2018年12月の全日本選手権で優勝。そして2019年6月の全日本選抜でも優勝して日本代表となり、秋のオリンピック第1次予選を兼ねた世界選手権で出場権を獲得。同時に世界の動き、どんな選手がいるのか実際に戦ってみて、確かめる必要があるというわけだ。

 今回改めて、復帰のリミットを訊ねると、伊調は自ら確認するように言った。

「今年の12月ですよね。そこから逆算して......階級、計量が変わったので、少し余計に時間が必要かな」

 リオで戦った58キロ級はなくなり、57キロ級あるいは62キロ級へ変えなければならないが、もともと60キロ前後の伊調はアジャストできるだろう。それぞれの階級に誰がいるか、気にする必要もない。

 問題は計量だ。1回戦から決勝までを2日に分けて行なう新システムも、アテネオリンピックまでは2日間にわたった試合をしてきたので難なく対応できるだろう。ただ、試合当日の朝に行なわれる計量――この点だけは慎重にならざるを得ないが、情報はすでに集めているようだ。

 身体をもとに戻すには、どれだけかかるのか。最後にズバリ訊ねると、伊調は即答した。

「最低3ヵ月は必要」

 その言葉には、オリンピック4連覇の偉業を成し遂げた女王の力がこもっていたが......果たして、私たちは伊調馨とともに、前人未踏のオリンピック5連覇の夢を追いかけることはできるだろうか。

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