伊調馨がALSOK広報部に異動したので、さっそく名刺交換してきた (3ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

パソコン作業や通勤ラッシュなど、慣れない社会人生活に苦笑いパソコン作業や通勤ラッシュなど、慣れない社会人生活に苦笑い

 イランでは、女子は学校で体育の授業もないそうで、まったくスポーツをしたことがない人や、私よりも年上の人もいて。もちろん、国民性も環境もまったく違っていたので、日本でチビッ子を教えるより大変でしたが、得たことも大きかったです。

 まず、基本を教えるには、"しつこさ"が必要だと改めて感じました。英語も通じないから覚えたての言葉で、気づいたら『右!』『左!』『何度も繰り返して!』ばかりしつこく言っていまいた。

 コーチとしての未熟さも改めて思い知らされましたが、一番は何と言っても、教えるときの言葉の引き出しの少なさ。そこからもっと勉強しなくてはいけないと痛感しました」

 そうした経験を活かし、コーチとして学んでいくこと、オリンピックやレスリングを盛り上げていくことについては、東京2020オリンピック・パラリンピックのオフィシャルパートナーであるALSOKとしては今後も後押ししていく方針だ。

 2017年12月の全日本選手権にはエントリーしなかった。だが、伊調は1年以上試合から遠ざかっているものの、練習は続けている。

「最初は身体を慣らす程度でしたけど、少しずつ上げてきています。いくら子どもたち相手でも負けるわけにはいきませんし、『タックル、遅せぇなぁ』なんて言われたくないですから。

 今年1月からは、仕事が終わってからできるだけ出稽古に行ったり、ジムでトレーニングをして、週末も練習するようにしています。でも、オリンピック前のようにフルに練習漬け、すべてが練習中心とは違いますし、週末もイベントやレスリング教室などがあって、なかなか自分の練習はできていません。

 それでも、不思議ですよね。忙しくて練習時間が思うように確保できず、時間が限られてくると、その分しっかりやろうとなってくる。練習に身が入るといいますか。スイッチは3ぐらいまで入ったかな」

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