クリス・ジェリコがオメガとの頂上決戦「新日本1.4」を語りまくる (5ページ目)

  • 明知真理子●取材・文 text by Akechi Mariko
  • 村上庄吾●撮影 photo by Murakami Shogo


――デビューしたのはカナダですか?

ジェリコ そう、19歳だった。

――その頃は今のように世界的に有名になると思っていた?

ジェリコ いや、その時はデビューすることだけが夢だったよ。会場の大きさなんか関係なく、ただ観客の前で試合をすることだけを励みにトレーニングを積んでいた。だってティーンエイジャーの頃は、それがいちばん大きな夢だったから。もちろん日本に行きたいとか、WWEに入りたいとか、その夢はどんどん大きくなっていった。ひとつひとつステップを踏んだことが、僕を成功に導いてくれたって感じかな。

 そういう意味じゃ、人生と似てるよ。「早くクリスマスが来ないかな」とか思うだろ?   でも、それまでの2週間には、人生も2週間分詰まってる。僕のキャリアもそれと同じだ。「WWEに早く入れたらいいのに」って若い頃は思ってたけど、今の自分があるのは、その試合とその瞬間を一歩ずつ生きてきた結果だね。しかも毎日楽しんで、感謝しながら、ひとつずつ学んできたんだよ。

――哲学者みたいですね! プロレスとは、人生のようなもの?

ジェリコ まさしくそうだね。プロレスも人生も、全責任が自分に委ねられてる。海外遠征にも行かなきゃいけないし、家でゆっくりなんてできないが、そんなのは納得済みだ。結婚したって、子供が生まれたって同じだ。それができなきゃ、プロレスラーという職業は成り立たない。でも、それは誰しもが送れる人生じゃない。多くの奴らがやってきては消えていくなか、27年間もこの業界にいられるってのは、レアだと思うよ。

――今も生き残れている理由は何でしょう?

ジェリコ 何よりも情熱があったからだね。そして、いつだって自分ってものを省みて再構築してきた。それはファンのためだけじゃなく、自分のためにもね。だって自分の中で行き詰まると停滞してしまうから。それに去り際は心得ていたよ。WWEにずっとはいられないだろ? 居続けると人は慣れて退屈する。でも、いなくなると「いつ帰ってくるんだ!?」って待っていてくれる。それって大事だと思うんだ。

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