あのレスリング女王が衝撃の惨敗。伊調馨は「早く負けろ」と言っていた (2ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「減量によって枯渇したエネルギーが温かい食事によってすぐに補える」と、選手たちからは好評だったが、試合開始時間が早い選手は空腹を我慢して食事の量を加減し、肉や魚を控えていたようだ。また、両日の試合前計量では、初日の計量後に食べ過ぎて2日目の計量をパスできないことを懸念し、初日の試合後に公園内をランニングして減量し直す選手もいた(世界レスリング連盟は救済措置として、ルール変更後1年間は2日目の計量をプラス2kgまでOKとしている)。

 これまでは体重の1割以上を減量し、試合前日の計量をパスする選手が多かった。そして計量後に食べまくり、当日も試合の間に栄養補給して増量し、決勝戦のマットに立つときは減量前の体重に戻っている......というのも当たり前だった。だが、今回の変更によって、減量したまま戦わなければならない選手にとっては過酷極まりなかっただろう。

 それでも計量失格などのトラブルはなく、負けた要因をルール変更による調整ミスとして挙げる選手もいなかった。ただ、大会最終日に行なわれた女子4階級の準決勝に出場する8選手のうち、3選手が棄権している。いずれもケガとされているが、その真の原因を検証する必要はあるはずだ。

 2018年世界選手権の代表選考会を兼ねた今大会は、注目の有力選手たちが頂点を掴み取った。

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