今年無敗の阿部一二三。リネールを超えて「世界柔道界の顔」になれ (3ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 ボクシングをはじめ格闘技の世界には「パウンド・フォー・パウンド」という言葉が存在する。階級によって細分化された世界で、体重差を抜きにして誰が最強であるかを論じる一種の称号である。

 五輪を2連覇し、世界選手権の金メダルも11個保持している絶対王者のテディ・リネール(男子100kg超級)に翳(かげ)りが見え始めた現在、豪快な担ぎ技でファンを魅了する阿部こそJUDO界パウンド・フォー・パウンドになる逸材だ。いや、そういう存在にならなければ、阿部の目指す「野村(忠宏)超え」、つまり五輪4連覇も果たせないだろう。

 そう伝えると、阿部は言った。

「自分、さすがにリネールには勝てないっすよ」

 その口ぶりは、どうもピンときていない様子。あらためて、パウンド・フォー・パウンドの意味を解説した。

「なるほど、柔道界の存在感ってことっすね(笑)。はい、リネールを超えます!」

 最強の柔道家は、さらなる飛躍を目指す。

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