村田諒太らチャンプが輩出。
京都廣学館ボクシング部が育む「拳の哲学」

  • 内田暁●取材・文・撮影 text by Uchida Akatsuki

飾られた賞状の多さがボクシング名門校の歴史を感じさせる飾られた賞状の多さがボクシング名門校の歴史を感じさせる「自分が今、大切にしているのは、ひとつはこれまで築いてきた伝統を途切れさせないこと。もうひとつは、やはり自分でチャンピオンを育てあげることを目標にしています。武元先生の真似はできないけれど、練習自体は武元先生に残していただいたメニューをもとに、自分でアレンジしながら生徒たちを指導しています」

 京都南部の私立高校ボクシング部の礎(いしずえ)を築いた武元氏は、鹿児島県の南方に位置する沖永良部島(おきのえらぶじま)出身。日本大学卒業後に教員となり、南京都高校ボクシング部には創部2年目から指導者として携わった。

「京都はもともとボクシングが盛んではない町ですが、南京都高校の理事長が口永良部島出身だったので、そのつながりで武元先生も本校にいらした。そのときから、ボクシング部を強くしたいとの思いがあられたんです」

 その武元氏が徹底した指導理念とは、雑駁(ざっぱく)に言ってしまえば「基礎に忠実であること」だ。

「ボクシングの基本は、やっぱり走り込みです。そして基礎の『型』。野球でいえば、バットの素振りですね。それを武元先生は重視していました。基本は大事です。村田も山中も、基本練習は絶対に手を抜きませんでした。

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