村田諒太、先があるから「泣いてません」。視線の先は最強ゴロフキン (5ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

 試合後、会場のあちこちで、こんな会話が聞こえた。

「村田、いい男だ」

 勇気と覚悟、試合でのパフォーマンス、そして勝利者インタビュー。そのどれもが輝いていた。つまり、この夜の村田諒太は、いいボクサーである前に、とてつもなくいい男だった。

 もちろん、村田が目指す頂(いただき)までの道のりは長く険しい。もし対戦が叶ったとしても、本人が認めるように、ゴロフキンは村田よりも強い......現時点では。それを承知で、村田は頂を目指す。

 その道程を思えば、5月の不可解な判定は、村田に遠回りを強いることになったと思う者もいるだろう。だが、それは違う。モハメド・アリはこう言っている。

「リスクを取る勇気がなければ、何も達成することがない人生になる。あまりにも順調に勝ちすぎているボクサーは、実は弱い」

 言い換えるなら、敗北の味を知る今の村田諒太は強い。

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