パンチで爆発音がする井上尚弥。ロマゴンの沈没で、次なる標的は誰だ? (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by AFLO

「初回はけっこう相手も出てきていて、自分のパンチも当たる距離だったが、中盤の3、4、5回あたりからは逃げ一辺倒。これじゃ、ちょっと試合にならない」
  
 試合後の井上の言葉からは、内容が問われるアメリカのリングで、語り草になるようなデビューを飾れなかったことへの悔しさが滲んだ。

 もっとも、アメリカのボクシング関係者たちが井上のパフォーマンスに批判的だったわけではない。むしろその逆で、基本的には賞賛している。特に"パワー"に対する評価が高く、左右両方の拳から放たれたボディブローの威力は話題になった。

『ESPN.com』のダン・レイフィール記者は、序盤の時点で「井上が打ち込むボディの音はリングサイドまで聞こえてくる。強烈だ」とツイートした。実際に、豪快なボディアッパーがヒットすると、リング下の記者席にまで爆発音のような音が届いた。そのたびに、リングに近い席に陣取ったファンから、ため息とも悲鳴ともつかない声が聞こえてきたものだった。

 アメリカで名を売ろうと思うならば、代名詞になるような"得意パンチ"を持っているに越したことはない。井上の武器はパワーだけでないが、この日に誇示したパワフルなボディブローは、本場のファンの記憶にも焼きついただろう。

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