スーパー女子高生ほか金メダルが続々。日本レスリングに世代交代の波 (4ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 18歳1ヵ月26日での世界選手権・金メダル獲得は、「シニアはその年の12月31日時点で18歳以上」というルールが確立して以降、17歳10ヵ月で優勝(1999年スウェーデン・ボーデン大会)した正田絢子に次ぐ2番目に若い記録だ。しかも日本レスリングにおいて、現役JOCエリートアカデミー生が初めて世界選手権出場を果たしての優勝である。「世代交代が進まない」と言われ続けてきた日本女子レスリング界の現状を、この18歳は大きく変える可能性を秘めている。

 パワーで優る北朝鮮選手との準決勝は苦戦して5-2に終わったものの、それ以外の4試合はすべて圧巻のテクニカルフォール勝ち。吉田も絶賛するスピードと、伊調ばりの体幹と足腰の強さに加え、この1年は課題として強化してきたグラウンドでの攻撃力も急成長を遂げた。タックルからローリング、そしてアンクルホールドへとつなげる高い得点能力を身につけた須崎は、どこまで強くなるのか。

「次の大きな目標は2020年東京で金メダルを獲ることです」

 試合後のインタビューで、須崎は誰よりも大きな声で、ハッキリと自信満々に宣言した。金メダルを首から下げて見せた屈託のない笑顔が初々しい。その表情には、日本の至宝である吉田や伊調の女王たちも超える無限の可能性があふれていた。

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