「大鵬の孫で貴闘力の長男」は、プロレスと総合格闘技で頂点を目指す (2ページ目)

  • 松岡健治●文・撮影 text & photo by Matsuoka Kenji

 記者会見に同席した佐山は、入門当初の納谷を「腕立て伏せは0回。1回もできなかった」と振り返る。祖父、父譲りの体格に見合わない"ひ弱"な男だったが、納谷には努力を繰り返すことができる素質があった。わずか1カ月で腕立ての回数は100回を超え、病気の治療を終えた後も地道に練習を積み重ねた。その中で目覚め始めた才能には、師匠の佐山も舌を巻く。

「特に、右の蹴りを見た時はびっくりしました。幸男の蹴りは腰が入っていて重たいんですよ。この体でそんな蹴りができる選手は、そうはいません」

 練習で指導する先輩レスラーのスーパータイガーも、「ダイナミックな蹴りは、ミットを持っているこっちが脳震とうを起こすぐらいの衝撃があります。試合でどう炸裂するか楽しみです」と絶賛した。

 さらに、レスリングの能力に関して、佐山は祖父・大鵬の"偉大なる遺伝子"を感じたという。

「単純に重いものを持ち上げるパワーではなく、筋肉に柔らかさがあるんです。柔軟性のあるパワーは、おじいちゃんのそれを引き継いでいる。私は大鵬さんが好きだったのでよくわかるんですが、その現役時代を思わせる柔らかい足腰、強い上体を持つ選手ですね。レスラーでいうと、猪木さんに似ているかもしれません。猪木さんの柔らかさに、大鵬さんのパワーを加えたような感じです」

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