「俺のような柔道家になってほしい」。小川直也が息子・雄勢に託す夢 (4ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Kyodo News

──かつてのように、雄勢選手と乱取り(実戦形式の稽古)を行なうことはありますか。

「大学1年生の頃まではやっていたよ。高校生の頃はまだまだ弱いなと思いながらやっていたけど、大学生になって初めて投げられた。『成長したな』と思いましたね。ただ、ここ1年は俺が体調を崩していたこともあってやっていない。もうかなわないところまできているし、ここからもう一皮むけてほしい」

重量級で戦う雄勢選手について語る小川直也氏重量級で戦う雄勢選手について語る小川直也氏──ご自身が獲得できなかった金メダルを、雄勢選手に獲ってもらいたいというお気持ちはありますか?

「もちろん、やる以上はそれを目指してほしい。そして、俺の柔道を継ぐ以上は、俺のような柔道家を目指してほしい。でも、俺が一番強かった頃からしたら、雄勢の柔道は20%か30%。寝技もまだまだですね。雄勢の柔道はまだ完成していないし、これからの上積みがある」

──東京都選手権を制した雄勢選手ですが、全日本では3回戦で敗れました。雄勢選手が東京五輪に出場するためには、少なくとも来年には代表選考レースの舞台に上がらないと間に合わないように思います。これからの課題はどこにあると思いますか?

「確実に力はついているから、あとは気持ちだけ。少なくとも20歳当時の俺よりも、技のバリエーションは豊富だし強い。ただ、さっきも言ったけど、まだまだ発展途上。ギリギリの試合を何度も経験することが大事だと思いますよ。タイトルよりも、『この選手に勝った、あの選手にも勝った』というような勝利の積み重ねがね。

 絶対的な得意技がないのは課題かな。今はいろんな技に取り組んでいて、それがバリエーションの豊富さにはつながっているんだけど、どうしても急いでいるように見えるし、『二兎を追う者は一兎をも得ず』となりかねない。技は1年にひとつずつ磨いていけばいいとは思うけど......。それを自分で実感することも大事だから、今はあえて何も言いません」

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