小川直也が語る今の日本柔道界。若手ホープに期待も、重量級には喝! (5ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Kyodo News

──阿部は野村忠宏氏を目標にしていて、「東京五輪を勝ったぐらいでは野村先輩に追いつけない。4連覇が目標」と公言しています。4連覇するには、30代の後半になるまで柔道を続けなければなりませんが。

「ほう、いいじゃない(笑)。医療が発達したことで、サッカー選手や野球選手たちは選手寿命が延びているのに、柔道は30歳になる手前ぐらいで引退してしまうのが現状だしね。40歳まで現役を続けられたのは野村忠宏ぐらいでしょ。柔道の場合、アマチュアで企業に属している選手がほとんどだから、引退後のセカンドキャリアを見据えると30歳前後でどうしても壁にぶち当たる。企業に勤める者として、『いつまでも柔道ばかりやっているわけにはいかない』と悩むんですよ。俺にもそういう時期はあったからつらさも分かるけど、阿部には頑張ってほしい」

──世界選手権の代表にはなれませんでしたが、国士舘大学に進学したばかりの100kg級・飯田健太郎にはどのような印象を持っていますか? 現在の首脳陣がポテンシャルを高く評価しているようですが。

「彼も中学から見ているけど、順調に成長している。ここ1、2年が勝負だろうね。課題は寝技かな。100kg級は外国人選手も寝技が強いから、そこも磨かないと世界では勝てない」

──確かに、東京都選手権では軽い階級の選手に腕関節を極(き)められて敗れました。

「ああいう試合を見てしまうと気にはなるよね。でも、『オリンピックじゃなくてよかった』と前向きに捉えればいいと思うよ」

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