小川直也が語る今の日本柔道界。若手ホープに期待も、重量級には喝! (4ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Kyodo News

──井上監督は、ジュニア世代の選手にも積極的に電話をしたり、メールを送ったりして、叱咤激励しているようです。

「連絡はマメにしているみたいだね。俺らの時代はメールなんてなかったからなあ(笑)。それでも、上村春樹先生(現・講道館館長)や斉藤先生も頻繁に連絡くれたから、そういう気遣いの部分は同じだと思う」

──今年の世界選手権に挑む代表選手の顔ぶれを見て、気になる選手はいますか?

「阿部一二三だね」

──まだ19歳ながら、66kg級のホープですよね。昨年末から、グランドスラムの東京とパリ、4月の選抜体重別も制しましたし。

「技が多彩だし、『何をしてくるんだろう』という期待感がすごい。ひとつひとつの技がうまく自分の柔道に組み込まれていて、『なるほどな』と感心するような柔道をする。ただ、古賀稔彦でいう一本背負いのような必殺技がないんだよね。俺はプロを経験したから、どうしてもお客さん目線も気にしてしまって」

──いわゆる、代名詞となるような技がない、と。

「そうそう。古賀は彼の年齢の頃には既に一本背負いが代名詞になっていて、中量級の選手でありながら、120kgとか、130kgある相手をバンバン投げるアグレッシブな柔道にみんなが魅了された。まあ、阿部も代名詞となる技はこれから身につけていくと思うけど」

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