【国際プロレス伝】アントニオ猪木が一度だけアニマル浜口を褒めたこと (4ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO

『声を出す』『息を上げる』『汗をかく』を3原則として、『力をちょっと出す』を加えるとスッキリします。そうやってから、最後はストレッチを入念にして、試合をシミュレーション。呼吸を整え、リングシューズに履き替えて、一度冷静になってからリングに上がるんです」

 そうした試合前の"ルーティン"を始めたのが、国際軍団時代。そしてそれを確立したのが、のちに長州力と組んだ維新軍時代だった。アニマル浜口は引退後、指導者となり、独自に考案したトレーニング方法は世界を5度制した娘・京子に、そしてプロレス界・格闘技界へ巣立っていく道場生たちに引き継がれている。

「それとね、新日本プロレスとの抗争を繰り返すなかで、僕は気づいたんです。プロレスは、"眼"なんです。敵と対峙する戦いにおいて、いかに眼の力が重要か。僕はそのことを、アントニオ猪木さんに教えていただきました。

 僕は田園コロシアムで猪木さんと出会ってから、悩み、考え続けました。『新日本プロレスとは何か』『プロレスとは何か』をね。答えは、アントニオ猪木という不世出のレスラーにありました。新日というのは、すなわちアントニオ猪木さんであり、アントニオ猪木さんの"眼"にこそ、プロレスの真髄があったんです。

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