米国メディアが見た村田vsエンダム戦。本場の意見も「ありえない」 (5ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by AFLO

 実際にジャッジのひとりは適切と思えるスコアで村田勝利としているわけで、「WBAの判定基準うんぬん」は議論のすり替えに思える。WBAに対しては、タイトルを乱発(スーパー王者、正規王者、暫定王者)していることに批判が集まっているが、それよりも問題なのは、奇妙な判定を下した個々のジャッジの力量にあり、その点では統括団体(WBA)の管理が問われても仕方ない。

 ボクシング界では残念ながら「疑惑の判定」は後を絶たないが、いわゆる「ハウス・ファイター(興行主に近いとされる選手)」が不利を被ったという意味で、エンダムvs村田は珍しい判定結果が出たタイトル戦だった。背景的に、ティモシー・ブラッドリー(アメリカ)が人気絶頂だったマニー・パッキャオ(フィリピン) を微妙な判定で破った2012年6月のWBO世界ウェルター級タイトル戦と、最近では、今年3月18日に怪物ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)がシーサケット・ソー・ルンヴィサイ(タイ)にまさかの敗北を喫したWBC世界スーパーフライ級タイトル戦が思い出させられた。

 パッキャオvsブラッドリーは結局3度(パッキャオの2勝1敗)も戦うことになり、ゴンサレスとシーサケットも近日の再戦は確実。それと同じように、村田側が望みさえすれば、リマッチ実現の可能性は高いだろう。そして、再戦挙行となった場合には、ファンや関係者が試合を担当するジャッジの経歴にまで注目するという異例の展開になりそうだ。

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