長谷川穂積が選ぶベストバウト。「日本武道館が水を打ったように...」 (7ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • 大村克巳●撮影 photo by Ohmura Katsumi

―― 昨年12月のWBCの総会で、フロイド・メイウェザー・ジュニア(アメリカ)とツーショットの写真を撮っていましたね。

長谷川 オーラ、すごかったですね。オーラって見る側が相手に対して作ってるもんだと思うんです。僕がそういう目で見てるからなんでしょうけど、ホント、オーラがすごかった。キラキラしてますよね。現役・引退含め、錚々たるボクサーがいたんですが、誰とも写真を撮らなかったですけど、唯一、メイウェザーだけとは写真を撮りました(笑)。

―― キャリア最終戦となった昨年9月の試合、「決まるのが1~2週間遅ければ引退していた」と言っていました。キコ・マルチネス戦(メキシコ/2014年4月23日)も、自身で設けたリミットぎりぎりで決まりました。ドラマチックですね。

長谷川 偶然ですね。ただ、偶然ではあっても、僕が誰かのボクシング人生を歩めないのと同じように、僕のボクシング人生も他の誰かでは歩めないという自負があります。僕のキャリアを、勝った負けたを書き出せば、紙1枚か2枚、そんなもんです。

 ただ、世界チャンピオンになり、母親にガンが見つかり、もう一度チャンピオンになり、また負けて、もう一度王者に返り咲き、チャンピオンのまま引退した。絶対に僕にしか歩めなかった道、僕にしか描けなかったストーリーだと思うんです。「ボクサー長谷川穂積」を好きだった人は、そういう物語を含めて好きでいてくれて、僕がチャンピオンであろうが、なかろうが、どんなときでも会場に見に来てくれたんだと思うんです。本当に感謝しかありませんね。

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