長谷川穂積が選ぶベストバウト。「日本武道館が水を打ったように...」 (4ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • 大村克巳●撮影 photo by Ohmura Katsumi

―― 「ボクシング界の救世主」「日本のエース」と呼ばれ始めました。ボクシング界を背負っている感覚はありましたか?

長谷川 全然ないです(笑)。日本のエースとか、やめてほしかったくらいですね。

―― ただ、当時の勢いは、まさにエース。負ける気がしなかったんじゃないですか?

長谷川 そうですね。負ける気がしませんでしたね。特にKO勝ちが続いた8、9、10度目あたりの防衛戦は。

―― 負ける気がしなかった自信の根拠は?

長谷川 天狗だったってことじゃないんです。当時、勝てば勝つほど練習を増やしていたので。しかも、「ボクシングの神様が俺にはついてる」って気持ちでやってましたから。それは負けないですよね。間違いなく誰よりも練習をしている、というのが自信の根拠でした。

―― 今では当たり前のように耳にしますが、日本人ボクサーが「ラスベガスでやりたい」「他団体王者と統一戦をしたい」と発言したのは、長谷川選手が初めてだったと記憶しています。

長谷川 3度目の防衛をしたくらいですね。ロスで試合を観戦したことがあったんです。さすが本場やなって盛り上がりで。こんなとこで試合ができたらいいなと。どうせやるなら、最高と呼ばれるリングに立ちたかったし、そこでやるならばビッグマッチ、統一戦だろうなと。

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