長谷川穂積、引退から3ヵ月後の心境。「現役じゃないけど一生ボクサー」 (8ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • 大村克巳●撮影 photo by Ohmura Katsumi

 ためらう様子もなく、長谷川は「ありますよ」と即答した。

「世界タイトルマッチ、もしくは、それに匹敵するビッグマッチなら。ビッグマッチがそう簡単に決まらないの、僕が一番知ってますけどね。もしも決まるなら、それも運命だと、やりますよ」

 では、ビッグマッチとは、具体的にはどんな試合を指すのか?

「たとえば、もしも、ノニト・ドネア(フィリピン)に『キャリアの最後にお前とやりたい』って言われたら、やるに決まってるんですよ。来月って言われたら無理ですけど、きっちり時間を取ってくれるなら。僕はドネアとずっとやりたかったんで。絶対にやります」

 彼がもう一度リングに立つ日が来るのか、今は誰にもわからない。しかし、長谷川穂積は言った。

「僕は今、現役じゃない。でも、一生ボクサーなんで」

 その目は、現役のボクサーのそれ、そのものだった。

(後編に続く)


【profile】
長谷川穂積(はせがわ・ほづみ)
1980年12月16日生まれ、兵庫県西脇市出身。168.5センチ。サウスポー。真正ボクシングジム所属。1999年11月にプロデビューし、2005年4月、プロ20戦目での世界初挑戦で王者ウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ)を倒してWBC世界バンタム級チャンピオンとなる。その後、世界王座に5年間君臨し、その間に10度の防衛に成功。2010年4月に王座から陥落するも、同年11月にWBC世界フェザー級王座を奪い取る。2016年9月、WBC世界スーパーバンタム級王者となって3階級制覇を達成して引退。生涯戦績41戦36勝(16KO)5敗。

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