【国際プロレス伝】反則負けのデビュー戦。新人がいきなりやらかす (3ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • ベースボール・マガジン社●写真

「社長はとにかく練習が好きでね。時間があれば僕たちと一緒にやって、汗をかいていましたよ。ヒンズースクワットから始まって、ウエイトトレーニングを延々とやらされました。僕は相撲はやったことがありましたが、レスリングの経験も柔道の経験もないから、すべてイチから教えていただきましたけど、同時にプロフェッショナルとしてどう戦うか、お客さんにどう見せるか、どうアピールするかということも叩き込まれました。社長はそういうことを実によく考えていてね」

 アニマル浜口の必殺技といえば、エアプレーン・スピン。相手を両肩に担ぎ上げ、ブンブン振り回す豪快な技を伝授したのも、吉原だ。

「最初の海外遠征から帰ってきてからだったか、いつから使い出したのか、よく覚えていないんですけど......あるとき、吉原社長から『この技をやれ!』と言われたんです。何の説明もなかったですけど、社長がそう言うんだから、素直に『ありがとうございます』と。疑問なんてなかったです。僕たちレスラーのことを常に一番に考えて、ひとりひとり実によく見てくれていた社長の言うことを聞いていれば間違いない、という信頼関係がありました。

 技を練習し、試合で使っていくなかで、『お前はそんなに大きくないけど、力が強いから』という社長の考えはわかってきましたよ。体格に恵まれず、身長は178cm。プロレスラーとしては小さいほうで、そのうえ器用に変幻自在になんて、どんなにがんばってもできない。エネルギッシュに動き回って、とにかく大きく見せないとお客さんの目を惹きませんからね。

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