【国際プロレス伝】アニマル浜口とプロレス「ナニワで運命の出会い」 (3ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by Nikkan sports, Sano Miki

 また、こんなこともありました。横浜の街を歩いていると、同じ現場で働く先輩が酔っぱらって市電を止めるほど大暴れしていたんです。僕は、自分に問いただしました。いつまでこんな生活をしているのかと。チャランポランな人生、末路は哀れなり――。僕は、『もう一度、原点に戻り、自分の夢を探し直そう』と一念発起し、大阪に帰りました。

 それが1963年12月8日、力道山先生が刺された日だったんです。僕は力道山先生と直接的な接点はありませんでしたが、何か、とてつもなく不思議な運命を感じますね」

 そして、大阪の製鋼所でまじめに働き、起重機の免許も取得して実家の家計を助けるまでになったころだった。休日にたまたま、古代ローマの剣闘士を描いた映画『ヘラクレス』を見た浜口は、画面から飛び出してきそうな筋骨隆々とした男たちの姿に魅せられてしまった。

「俺も、あんな身体になりたい!」

 矢も楯もたまらず飛び込んだのが、大阪・北新地の飲み屋街のど真ん中にある、『ナニワトレーニングセンター』だった。

 18歳、ボディビルを始めた浜口の生活は一変した。人生の歯車は、大きく動き出した。

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