伊調馨が明かす心境。「東京五輪で5連覇よりもやりたいことがある」 (3ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

photo by Sano Mikiphoto by Sano Miki「選手としてやっていく意味、価値を見いだせたらやるけど......。練習がつらくなったからとか、あと4年は長過ぎて考えられないからやめる、というのではないんです。

 でも、続けるとしたら、年齢的なこともあるから、練習の質は変わってくると思う。今までのようにやっていたら、身体が壊れますから。これまで以上にサポートも必要でしょう。そうなると、難しいことだと思いますが、コーチになったらなったで、指導していくことはもっと難しいと思う。

 それにやっぱり、『5連覇してなんなの?』というのがある。こだわりはまったくありませんから。うまく比べられないけど、自分が5連覇することよりも、コーチをすることのほうが勝(まさ)っているというか、おもしろそうな気がしています。5連覇してから勉強するのもいいけど、いずれそうなるなら4年早く勉強したほうが有効かなとも」

 いつから始めるかは別として、伊調が今一番やりたいと思っているのは、「コーチングとはなにか?」を学ぶことだ。

「根本的なことを学びたいんです。いいコーチはどうつくられるか? いいコーチはどう指導するか?」

 それゆえ、伊調はコーチからかけられて印象に残った言葉や、わかりやすかった説明、ピンとくる教え方などをメモしている。目指すのは、「選手と一緒にレスリングをつくっていけるコーチ」だ。そして今、その目標に向けて情報を集めている。

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