伊調馨が語るリオ五輪の裏側。「4試合とも最低、全部やり直したい」 (3ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 だから、金メダルを獲れて、4連覇できたから嬉しいというよりも、ホッとしたというのが正直な気持ち。みんなが喜んでくれたことがなによりでした。1月に負けたとき、自分以上に悔しがってくれる人や、ビックリするほど涙してくれる人が大勢いたので、金でよかったなぁと。

 その気持ちは、試合が終わってから今までずっと変わりません。帰りの機内でも、落ち着いていろいろ考えると、みんなの笑っていた顔が浮かんできたし。帰国して祝勝会などで応援してくれた方たちに会うと、さらに喜びが沸いてきました。

 でも、自分自身の問題としては、悔しさのほうが圧倒的に大きいです。決勝戦はなんで勝てたんでしょうね。自分の力なんて、ほとんど出せていないし。(登坂・とうさか)絵莉や(土性・どしょう)沙羅が最後に逆転できたのは、やっぱり練習量の違いでしょうけど、自分はそもそも完全な負け試合でしょ。

 それでも、最後の最後に自分が仕掛けたから、相手がカウンターで入ってきてくれた。あきらめて仕掛けなかったから、あの相手のミスはなかったでしょうから、あえて勝因を挙げるとすれば、そこぐらいですかね。

 最後のシーン、私がバックに回って2点獲りましたけど、ロシア(ワレリア・ジョロボワ)は審判の動きが見えていなかった。微妙で、もしかしたら得点されていないという考えだったと思うんです。それで、相手は踏ん張った。倒せたら確実に2点ですからね。

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