伊調馨が語るリオ五輪の裏側。「4試合とも最低、全部やり直したい」 (2ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 北京オリンピック後、伊調は引退発言をして長期休養。その後、カナダへと留学したが、3連覇を達成したロンドンオリンピック後はあっさりと「現役続行」を宣言した。「今、レスリングがどんどん好きになってきています。やり残したこともいっぱい。アテネからロンドンまで8年間、あっという間だったから、リオも意外とすぐに来るんじゃないかな」と語り、オリンピックイヤーが終わる前に本格的に練習を再開。翌年から試合に出場し、リオデジャネイロオリンピックまで突っ走った。

 だが、女子初・日本初・レスリング初となるオリンピック4連覇の偉業を達成したリオ大会は、「思い出すとイライラする」と伊調は言う。

「特に決勝戦。あんな無様(ぶざま)な試合、二度としたくない。技もダメ、展開もダメですけど、何よりもまず、アタックが少ない。普段と違う身体でした。こわばっていたというか、硬かったというか......。

 1月のヤリギン国際大会で負けて、6月のポーランドオープンでは優勝はしたけど、動きはよくなかった。それが一番の原因でしょうけど、やっぱり4連覇というのがありました。絶対に勝たなくてはいけないと、試合が近づくとますますプレッシャーが強くなってきて。初めて、戦うことが怖いと思いました。

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