内山高志、リマッチを語る。「転んだって、何度でも立ち上がればいい」 (5ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • 利根川幸秀●撮影 photo by Tonegawa Yukihide

―― なぜ、あえて危険な橋を渡ろうとするのか? 組みやすい相手との再起戦も可能だったのでは?

「僕、しつこいんですよ。昔から、ねちっこい(笑)。ただ、僕たちボクサーは、落ちるのか落ちないのか、わからない橋を渡るのが仕事ですから。その橋を渡り切ったひと握りのボクサーだけが、名声やお金を得て、ボクシングだけで生活ができる。そもそも、少ないわけです、橋の数が。その道を、みんなが先を競うように殺到するんで、当然、熾烈な争いが生まれる。だから、『渡らない』という選択肢はないですし、そもそも渡らないのならボクサーではない」

―― なるほど。

「再戦の勝敗どうこう以前に、負けたままというか、あのやられ方じゃ終われない。何も出し切ってないんで。負けたとしても、打ち合い判定の末の負けだったり、技術を全部出し切ったうえで、『全部上、行かれたな』って負けならいいんです。でも、前回はそうじゃなかった」

―― データ上では不利。負けるかもしれない戦いに挑むことは怖くないですか?

「まったく。ワクワクします。だって、今回の試合は面白いじゃないですか。お客さんにとっても。いつもは『今日も勝つんだろうな』みたいな空気がありましたよね。今回は、倒された記憶が鮮明にみなさんにも残っている。初めてかもしれないですね、『大丈夫なのか?』って空気のなかでの試合は。だから、僕のなかでも楽しみです。お客さんが楽しんでくれるのが一番いいじゃないですか。今回の試合は、間違いなく会場に緊張感があるだろうし、盛り上がるだろうなって」

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