波乱続きのRIZIN無差別級。イランの「汚れた英雄」が強すぎる (2ページ目)

  • 布施鋼治●文 text by Fuse Koji
  • photo by RIZIN FF/ Sachiko HOTAKA


 結局シウバの代役は、12月16日に行なわれたMMAイベント、「ベラトール」アイルランド大会で石井慧を破ったばかりのキング・モーに決定した。プロハースカの代役は、昨年のRIZINで電撃復帰した日本MMA界きっての理論派・高阪剛。カーウィンの代わりには、かつてPRIDEで活躍したヒース・ヒーリングが8年ぶりに復帰することになった。試合勘の戻り具合が気になるが、UFCに参戦中の強豪ロイ・ネルソンと練習に励むヒーリングは、「心配ない」と不安視する声を一蹴する。

 中でも、モーはトーナメントの台風の目となりそうだ。というのも、この男は昨年の100kg級トーナメントの優勝者。その実力は日本の格闘技ファンにも広く知れ渡っている。しかも、ショーマンシップに長けたキャラクターとは対照的に、モーの素顔は緻密な戦略家で、石井戦も相手の動きを十分に研究したうえでの勝利だった。

 ただし、今回は石井戦からわずか2週間後のトーナメント参戦である。十分な休養がとれないだけに、どこまでコンディションをキープしているかが勝負のカギだろう。モーの初戦となる、二回戦のミルコ戦がトーナメントの天王山と見る向きもある。

 日本でのネームバリューはミルコのほうがはるかに上だが、最近の戦績を比較するとモーに分があると言わざるを得ない。その一方で、ミルコvsモーは潰し合いになるとの見方もあり、どちらが勝者になるにせよ、決勝まで勝ち上がるのは難しいと予想する識者が多いようだ。

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