柔道100キロ級に現れた高校3年の
新星は「技よし、顔よし、頭よし」

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Sportiva

 国士舘の柔道場で飯田の存在は際立っていた。たしかに188センチの高身長で、ひとりだけ日の丸が縫い付けられた青の柔道着はただでさえ目立つ。だが、それだけではない。どこか大人びているのだ。その印象はインタビューの段となってより強くなる。

 父親が国士舘大学の柔道部出身という飯田は6歳で柔道を始めた。当時はサッカーもやっていた。柔道とサッカーを経験しているのは、足技が得意だった鈴木と同じだ。

 飯田が語る。

「自分、右利きで、柔道も右組みなんですけど、蹴るのだけは左利きなんです。柔道で左の足払いが得意なのは、サッカーの影響かなって思います。これまで野球もやったし、どんなスポーツでもちょっとやっただけで、なんとなく感覚は掴めましたから、運動神経はいい方だと思います」

 小学3年から柔道一本に絞り、6年生の時に全国2位に。中学は地元・神奈川の大野北中学に進学し、3年次の全国中学校体育大会では81キロ級で2位に輝く。国士舘高校に入学してから90キロ級に階級をあげ、さらに2年生では100キロ級でインターハイ、全日本ジュニアを制す。

「体が大きくなるにつれて体重が増え、自然と階級を変更していきました。これまで減量はしたことがないです」

 現在は体重が90キロ台で、やや線が細い印象も受けるが、いまだ成長期にあり、体はさらに大きく太くなることが予想される。井上と鈴木がライバルとしてしのぎを削ってきた日本柔道の顔というべき100キロ級で、しばらくは世界を目指すという。

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