柔道100キロ級に現れた高校3年の新星は「技よし、顔よし、頭よし」

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Sportiva

 秋の柔道日本一を決する講道館杯(今年は11月12・13日)は、例年、新星が台頭する大会であり、リオ五輪を終えたばかりの今年は、4年後の東京五輪に向けて新たに代表争いがスタートする大会でもある。

 1998年の鈴木桂治と2004年の石井慧――のちに五輪金メダリストとなるふたりはいずれも国士舘高校3年のときに同大会の100キロ級を制し、その活躍を足掛かりに日本代表へと成長していった。

日本柔道100キロ級のホープ、国士館高校3年の飯田健太郎日本柔道100キロ級のホープ、国士館高校3年の飯田健太郎 今年、先輩のふたりに続こうと100キロ級に挑戦するのが、国士舘高校3年・飯田健太郎だ。インターハイと全日本ジュニアを2連覇している100キロ級のホープである。

 名門・国士舘高校の柔道部を長年、率いてきた岩渕公一監督はいう。

「(鈴木)桂治や石井のときは、幸運もあって、どちらかというと転がり込んできた優勝だった。飯田の場合は、狙って獲りにいくタイトルです」

 現・柔道男子監督の井上康生と同じ右組みの飯田は、井上同様、内股を得意とする。それでいて、鈴木桂治が武器とした足技もキレる。井上と鈴木を足して割ったような、大胆さと繊細さを併せ持つ柔道家だ。岩渕監督も、その非凡な才能を認める。

「とにかく器用で、教えたことの理解力がある子です。内股は『イチ、ニ、サン』ではなく、『イチ、ニ』と素早く相手の懐に入って投げることができるし、重い相手に対しては回しながら投げる内股もある。そして、内股が警戒されたら大外刈りも。今年に入って技のバリエーションが増えてきた。楽しみです」

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る