吉田沙保里、4連覇ならず。「時代」は妹分たちへと引き継がれる (4ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 不世出のアスリートが輝き、レスリング界のみならず、日本のオリンピックスポーツをリードしてきた"ひとつの時代"が終わった。

 同時に、ひとりの天才の"妹分"たちが、2年後、2020年・東京オリンピックに向けて主役となって突き進む"新しい時代"が始まった。

 川井は大学入学時から、「打倒・伊調馨(いちょう・かおり)の一番手」と見られていた。しかし、「伊調先輩を倒す前にオリンピック!」と決意し、自らの階級を変更。58キロ級から63キロ級にアップし、オリンピック予選を兼ねた2015年・世界選手権に出場すると、決勝戦で敗れたものの2位となって見事にオリンピック出場権を獲得。大学4年生で憧れの舞台に立った。

 初戦から川井は、初出場とは思えぬ堂々とした戦いで、ロンドン五輪5位のモニカ・ミチャリク(ポーランド)を5-0で撃破。第2試合でも、ヨーロッパ選手権で過去4度優勝のアナスタシア・グリゴリエワ(ラトビア)にまったく危なげない試合で8-2。そして準決勝では、ロシア選手権を制して代表の座を射止めたインナ・トラズコワ(ロシア)に両足タックルを炸裂させ、さらにローリングも極(き)めて2分10秒テクニカルフォール勝ちを収めた。

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